私は、必需品のトイレットペーパーが街から無くなったという騒動(1973年11月)の年に独立しました(1973年4月)。はじめは園芸屋さんでしたが、紆余曲折を経て、1987年に現在の仕事を始めました。まだリフォームという言葉は洋服のことで、「家」は営繕と言っていた時代です。
今日、営繕としての「日常不満の解消」よりも、「暮らしを楽しむ」ためにリフォームする、という動機の方が増えてきました。家そのものの価値も、耐久「消費財」から地球に優しい「ストック」という社会的な財産との考え方に変わりました。一方、空き家の増加は負の社会資本として、問題化しつつあります。このように家そのものに対する社会的価値は揺いでいますが、住む人にとっては、暮らす場、成長する場というのは変わりありません。家のリフォームはあくまでも「幸せな時間を過ごす場」を作る為なのです。もちろん、家は先ず「すみか」として快適で安全でなければなりません。しかし、その上で幸せな時間を過ごす「暮らし」を求めてリフォームさせて頂きたいと願っています。出来れば成長した子どもが、故郷(ふるさと)と呼んでくれるような愛着ある「場」を目指したいと思っています。
でも、私達が一番願っているのは、いつまでも楽しくお付き合いできることです。お互いに「どう暮らすか」を一緒に考えた仲として、その後もご一緒に考え続けていきたいと願っています。一人の「暮らし」の成功例が他の方の参考になる、そんな好循環が理想です。「そんなの夢想だよ」と言われるかも知れませんが、長いスパンの仕事として、私達の仕事の大事な役割であるはずです。
理想は掲げつつ、私達の組織はまだまだ未熟です。それぞれの「楽しい暮らし」を通じて楽しい関係づくりを目指し、皆様のお叱りや激励を頂きながら、一歩一歩、歩みは遅くとも近づく努力をしてまいりますので、今後ともご支援を賜りたくお願い申し上げます。